つるかめ算がわかる!小学生が自信がもてる解説【受験算数】

「つるかめ算」は、足が2本、足が4本の生きものの中で、鶴は千年、亀は万年生きると言われるめでたい縁起から名づけられました。江戸時代に「生活の中の知恵」として生まれたものです。つるかめ算とは、どんな場面で便利に使われるのか見てみましょう。
目次
ザ・つるかめ算の問題とは
*算数の問題なのでシンプルにつるは「羽」でなく「匹」とさせていただいています。
つるとかめが合わせて10匹おりました。足の数を数えると、32本でした。つるとかめはそれぞれ何匹ずついるでしょうか。
つるかめ算とは、
全体の「数」と、全体の「量」がわかっていて、内訳(つるとかめそれぞれの数)を求めるときに使うもの。
この問題では、
つる:足2本
かめ:足4本
全体の数:10匹
全体の量:32本
「数」と「量」という言葉を意識して使いわけてください。
例:50円玉と100円玉が合わせて10枚あります。合わせた金額は、700円でした。50円玉と100円玉はそれぞれ何枚ずつあるでしょうか。
つる:50円玉
かめ:100円玉
全体の数:10枚
全体の量:700円
50円玉と、100円玉の内訳の数を問われています。
このような設定が問題の中で現れたときに、つるかめ算だ!と気がつくことが大切です。
つるかめ算の解き方
冒頭のつるとかめの問題で考えてみましょう。
つるとかめが合わせて10匹おりました。足の数を数えると、32本でした。つるとかめはそれぞれ何匹ずついるでしょうか。
【つるかめ算のポイント①】
もし、全部がかめだったら?を考えること。
かめの足は4本ですから全体の量は、
4×10=40(本)になります。
【つるかめ算のポイント②】
①のすべてがかめのうち1匹をつるに交換したら、違い(差)は何本か?を考える。
4本→2本になるのですから、4-2=2本です。
ここでわかることは、1匹をかめからつるに交換すると全体に2本の差ができることです。
【つるかめ算のポイント③】
つるとかめを取り換えた分が全体の差になる
(1) もし、全部が亀なら40本
(2) でも何匹かはつるなので実際は32本
(3) 1匹交換するとごに4-2=2本全体の量が減る
(1)と(2)の差分だけ、つるとかめを交換したとわかります。
(40-32)÷(4-2)=4
4をかめからつるに交換したことがわかります。
答えは、つるが4
かめが10-8=2
公式として考えると、つるの1匹の量(足の本数)をA本、かめをB本とすると、
(Bx全体の数-全体の量)÷(B-A)
【留意点(1)】
全部がかめだったら…とすると、この式から得られる答えは、つるの数です。
【留意点(2)】
全部がつるだったら…とすると、得られる答えはかめの数です。式は下記のとおり。
(実際の量-Ax全体の数)÷(B-A)
全部がAだったときの量と実際の量の差÷1つ取り換えたときに生じる差
「差」を考えるコンセプトは変わりません。大きい数から小さい数を引いた「差」を求めます。
混乱しそうなら「全部が多い数の方(かめ)だったら」と決めてしまってもいいです。問題で求められているのがかめの数であれば、つるの数を出してからかめの数を出すのを忘れないようにしましょう。
つるかめ算の応用(1) 弁償のつるかめ算
お皿を運ぶゲームがあります。1回運ぶごとに4ポイントもらえて、運べずに割ってしまうと逆に2ポイント返さなければ(弁償)なりません。最初に20ポイントもらってお皿を10回運んだところ、最後には48点になりました。何回お皿を割りましたか。
つるかめ算のポイント①「もし」すべてを割らずに運べたら?を考えましょう。
4×10=40(点)
もらうことができて、20+40=60点になりますね。ところが実際は48点でした。その差は、
60-48=12(点)
ポイント②1回割るごとに、どれだけ点数がかわるでしょうか。
4点もらえないだけでなく、さらに2点引かれてしまうので、差は4+2=6になります。
普通のつるかめ算だと、4-2=2にしてしまいそうですが、
「1取り換えたときの差」というポイント②を理解しておけば、特別なことはありません。
12÷6=2回…割った回数(答え)
割った分を弁償するので、「弁償のつるかめ算」と呼ばれるよくある問題です。
つるかめ算の応用(2) 3つのつるかめ算
60円、90円、120円の3種類の切手を全部で17枚買いました。60円の切手は90円の切手の2倍の枚数を買いました。合計の値段が1440円のとき、それぞれの切手は何枚ずつ買ったでしょうか。
3つではつるとかめにできないので、2つにしてしまいましょう。
2つにするためのヒントは「必ず」問題にはいっています。
60円の切手は90円の切手の2倍の枚数(ヒント)
いちばん少ない場合を考えると、90円が1枚、60円が1×2=2枚です。
これを1つの切手セット(1+2=3枚組)と考えましょう。
90×1+60×2=210円…3枚組セット1つの値段
次に3枚組セットの1枚の平均の値段を考えてみましょう。
210÷3=70円
ここからは、70円の切手と120円の切手を合わせて17枚、合計1440円という、見たことのあるつるかめ算になりますね。
つる:70円
かめ:120円
全体の数:17枚
全体の量:1440円
注:210円の切手セットと、120円の切手でつるかめ算をすると、全部で17枚という情報が使えなくなってしまいます。
もし、買ったのがすべて120円だったとしましょう。
(120×17-1440)÷(120-70)=12…(70円切手の枚数)
70円切手の枚数12を2:1に分けると、それぞれ60円切手と90円切手の枚数になります。
12÷(1+2)x1=4(90円切手の枚数)
4x2=8(60円切手の枚数)
17-(4+8)=5(120円切手の枚数)
答え:60円8枚、90円4枚、120円5枚
つるかめ算の応用(3) じゃんけんつるかめ算
A君とB君の2人がじゃんけんゲームをします。じゃんけんに勝てば4点もらえて、負ければ2点しかもらえません。また、引き分け(あいこ)の場合は2人とも2点ずつもらえます。じゃんけんを50回したところ、A君は120点になり、B君は104点でした。A君は何勝何敗何引き分けですか。
勝った場合と負けた場合、さらに引き分けの場合がある…と困ってしまうかもしれません。
つるかめ算は、つるとかめを何に設定するかをつかむことがポイント。
じゃんけん問題では、Aが勝ちならBは負け、Aが負けならBが勝ち、AがひきわけならBも引き分けです。つまりAがきまればBも自然に決まります。AとBの合計点を場合分けして見てみると、勝敗がついたときと、引き分けたときの2通りです。
この問題では、次のように考えます。
つる:引き分けの回:AとBの合計点(2+2=4点)
かめ:勝敗がついた回:AとBの合計点(4+2=6点)
全体の量(AとBのすべての合計):120+104=224(点)
全体の数:50(回)
もし、全部の回で勝敗がついた場合でつるかめ算をすると、
(6×50-224)÷(6-4)=38(引き分けの数)とわかります。
さて、ここからが2ラウンド目のつるかめ算です。
つる:Aの勝ち得点4
かめ:Aの負け得点2
引き分けが38回ですから、勝敗がついた回は、
50-38=12(回)…全体の数
Aが引き分けでもらった点数は38x2=76ですから、Aが勝ち負けでもらった点数は、
120-76=44(点)…全体の量
もし、Aがすべて勝った場合でつるかめ算をすると、
(48-44)÷(4-2)=2(回)…負けた回数
12-2=10(回)…勝った回数
答え 勝ち数10回 負け数2回 引き分け38回
まとめ
受験用につるかめ算を面積図で理解することもよく行われますが、つるかめ算の本来のコンセプトは伝わりにくくなります。塾などで面積図で理解することに慣れていれば利用するのもいいと思います。
試験ではつるかめ算自体が問題になることは多くはなく、問題の中で便利な計算術として活用することがほとんど。しっかり型をつかんで問題の中ではもちろん、生活の中でつるかめ算を使いこなせるようになると算数の面白さを身近に感じられると思います。
最後までお読みいただいてありがとうございました。
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