N進法、算数が苦手な小学生がわかる、夢中になる教え方
N進法は苦手にする子も多いですね。お子さんへの教え方がわからないというお母さんも大丈夫。一番身近なN進法は、時計の時刻、60進法です。そうなんです、実は誰でも生活の中で普通に使いこなせているものなのです。小学生の算数の問題で出てくるのは2~9進法がほとんどですが、仕組みがわかってしまえばNがいくつになっても同じです。理解してしまえばあとは慣れるだけ。見てみましょう。
目次
すでに知っている10進法で、N進法を考えてみましょう
10進法とは、ふだん意識せずにつかっている0~9の数字の考え方です。難しく考える必要はありません。
0から数えていって、9の次は位があがって10になりますね。そして10がまた10個になったら次の位、100になっていますね。それをこんな言い方をしてみましょう。
10個集まると次の位になるのが10進法
1円玉、10円玉、100円玉、1000円、10000円の関係は10進法です。
この10をNに置きかえたものがN進法です。
N個集まると次の位になるのがN進法
N進法で使う数字はN個です
具体的な数字を入れてみましょう。
10進法であれば、0~9の10個。
2進法であれば、0, 1の2個。
3進法であれば、0, 1, 2の3個。
注意したいのは“2”進法という名前なのに“2”は使わない、“3”進法でも”3”を使わないということ。10進法も使っている数字は”0~9″の10個ですね。直感的に間違えやすいので気をつけましょう。N進法に苦手意識をもってしまう理由の1つです。
2進法と3進法を0から順番に言ってみましょう
まずは表を見ずに自分で言ってみてから確かめましょう。
N進法の位(くらい)を確認しましょう
またなじみのある10進法で見てみましょう。
(1) 1の位
(2) 1の位が10個集まって→1×10→10の位
(3) 10の位が10個集まって→10×10→100の位
…
では2進法ではどうでしょうか。
(1) 1の位
(2) 1の位が2個集まって→1×2→2の位
(3) 2の位が2個集まって→2×2→4の位
…
3進法では、
(1) 1の位
(2) 1の位が3個集まって→1×3→3の位
(3) 3の位が3個集まって→3×3→9の位
…
1の位→Nの位→N×Nの位→N×N×Nの位…
となっていきます。10進法に慣れているので不思議な感じがしますが、同じ規則でいいのです。
N進法の数字を10進法で表してみましょう
10進法の”112”を式で表してみましょう。100が1個と10が1個と1が2個集まった数字です。
1×100+1×10+2×1=112
同じ112という数字がN進法だったとします。
各位は上から、N×N, N, 1ですから、N×Nが1個、Nが1個、1が2個集まった数字です。つまり、
1×N×N+1×N+2×1
これを計算すると10進法の数に変換できます。
具体的にNに数字をいれてみましょう。
同じ112という数字が3進法だったとします。
各位は上から、9, 3, 1ですから、
9が1個と3が1個と1が2個集まった数字です。つまり、
1×9+1×3+2×1=14
3進法の112は、10進法の14ということになります。
同じ112という数字が5進法だったとします。
各位は上から、25, 5, 1ですから、
25が1個と5が1個と1が2個集まった数字です。つまり、
1×25+1×5+2×1=32
5進法の112は、10進法の32ということになります。
まとめると、
各けたの数字×各けたの位の合計
迷ったら10進法の場合の式に戻って10をNに変えましょう。
いくつか練習してみましょう。
10進法をN進法に変換してみましょう
時刻の考え方から理解する
秒、分、時間の時刻は、60集まれば次の位にあがる=60進法ですね。次の問題を見てみましょう。
9485秒は何時間何分でしょうか。
これは10進法を60進法に直す問題です。N進法を意識しなくても時刻の問題として考えるとこうなりますね。
9485÷60=158分…5秒
158÷60=2時間…38分
つまり、10進法の9485秒は60進法の2時間38分5秒です。
これがまさに10進法をN進法にするやり方なのです。
今の計算を60進法→N進法としてみてみると、
10進法の数字をNでわったあまり→1の位
その答えをまたNでわったあまり→Nの位
その答えをまたNでわったあまり→N×Nの位
…
最後の答えが一番大きな位の数字
これで10進法の数字をN進法に変換することができます。
ひっ算(逆さ割り算)でやってみよう
同じことをひっ算にしてみましょう。
10進法の数字をNで割っていきます。
最後の答えからあまりの数字を矢印の順番に拾っていくと10進法の数字がN進法の数字になります。
ちゃんと2時間38分5秒になっていますね。これを「逆さ割り算」と言います。
注意:あまりが”0”のときも忘れずにいれること。
10進法の435を6進法に直してみましょう。
答えは、2003です。あまりが0のときも数字の中にはいっています。
N進法の読み方って?二進法の101はひゃくいち?
N進法のしくみを理解していればギモンに思うのはとても自然なことですね。二進法の3番目の位は100ではありませんから、101をひゃくいちと読むことはありません。一般には、N進法であることがわかるようにして、数字だけを読みます。たとえば「二進のいちまるいち(いちぜろいち)」などです。テストであれば、問われることはありませんが、本質的な理解をするには知っておくと面白いですね。
なぜN進法が生まれたのか
N進法の基本になるのは、「位」です。
ここに無数のキャンディがちらばっているとします。あなたならどう数えるでしょうか。
いくつかずつ集めて、同じかたまりをたくさん作り、それをさらにいくつかに集めて数えるのではないでしょうか。
これを10個ずつ集めたのが10進法です。
つまり、大きな数を処理するためにできたのが「位」です。
これを「位取り記法」といってインド人が発明した方法です。宇宙や自然の法則に合うように一週間は7日でまとめていたり、一か月は30日でまとめたりしていることもあります。時間は60でまとめられて、秒から分に、分から時間にと位があがっていきますね。
自然界だけでなく状況に合わせてN進法は使われています。2進法や16進法はコンピュータが処理をするのに都合のいいまとまりなので現在のコンピュータの基礎となっています。
1ダースは12個のまとまり。タバコは20本で1箱、10箱で1カートン、50カートンで段ボール1箱など、途中でN進法が20, 10, 50と変わる場合もあります。また2で割り切れるものが多いのは商売で扱いやすいからとも言われています。
さて、もし10進法を使わずに数を数えたらどうなるでしょうか。0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, ×,△,◇, ?, *, …のように永遠に一けたの数が必要になってしまいますね。(×,△,◇, ?, *は未知の一けたの形)
まとめ
N進法が苦手と思ったら、よく知っている10進法のルールを一度確認してみましょう。60進法の時計をもとに理解するとわかりやすくなります。中学受験に向けては10進法からN進法、N進法から10進法への変換は練習をいくつかやって慣れておくこと。数字でなく図形のパターンになっていたりするときもあせらずに今日のこの基本を思い出すことが大切です。N進法は人間の生きる知恵そのもの。歴史に夢をはせながら勉強して算数を楽しんでください。
最後までお読みいただきありがとうございました。学習のお役に立てれば幸いです。