算数が3倍おいしくなるブログ
2019.09.09 / 小学四年生

【分数の苦手克服 ②】小学4年生の通分を攻略

分数のコンセプト(魔法のルール①)から分母が同じ分数のたし算と引き算までを「【分数の苦手克服 ①】分数を苦手にさせない最初の教え方」で学びました。不安があれば復習を、しっかり定着したら次に進みましょう。おさらいです。分数のおもしろルール①は覚えていますか?

分母と分子が同じ分数は、「1」と同じ。

\(\large\sf{\frac{4}{4}}\)も\(\large\sf{\frac{23}{23}}\)も\(\large\sf{\frac{1357}{1357}}\)も\(\large\sf{\frac{100000}{100000}}\)…も1。
これが、仮分数と帯分数を学ぶ前に知っておくルールです。

真分数、仮分数、帯分数とはなんでしょう

真(しん)分数とは、分子の方が分母より小さい分数。
仮(か)分数とは、分子の方が分母より大きい分数。
帯(たい)分数とは、仮分数を整数と真分数で表した分数。

まずは、真分数と仮分数です。図の分数の中で真分数はどれでしょうか。

仮分数と真分数をみわける問題

緑の丸ですね。それ以外が仮分数です。

仮分数と真分数をみわける問題

魔法のルール①「\(\large\sf{\frac{〇}{□}}\)は、1つのものを□等分したものが〇個」で仮分数\(\large\sf{\frac{5}{3}}\)を考えてみましょう。

\(\large\sf{\frac{5}{3}}\)は、1つのものを3等分にしたものが5個。

図にしてみましょう。1つのものを3等分にしたものが5個ですよ。分子が分母より大きいだけでルールに違いはありません。

仮分数の説明図

さてここで気がつくことがありますね。先ほどのおもしろルール①です。□分の1が□個集まると\(\large\sf{\frac{□}{□}}\)=1になります。ここでも\(\large\sf{\frac{1}{3}}\)を3つまとめて\(\large\sf{\frac{3}{3}}\)=1としましょう。すると、\(\large\sf{\frac{5}{3}}\)は1と\(\large\sf{\frac{2}{3}}\)を足したものとわかりますね。

仮帯分数の説明図

これが帯分数です。帯分数とは、仮分数の中で「1にできるものをまとめてしまうこと」なのです。1\(\large\sf{\frac{2}{3}}\)のように書き、「1と3分の2」と読みます。

仮分数は帯分数に、帯分数は仮分数に直してみましょう

仮分数から帯分数、帯分数から仮分数に直すのには、計算を使うと簡単です。

先ほどの仮分数\(\large\sf{\frac{5}{3}}\)にもどってみましょう。
分子が3になるごとに\(\large\sf{\frac{3}{3}}\)=1ができるのですから、
分子の5の中に3がいくつかあるか、と考えることができます。
これはわり算、5÷3です。
こたえは、5÷3=1あまり2
なので、\(\large\sf{\frac{3}{3}}\)が1つあって、\(\large\sf{\frac{1}{3}}\)が2つ→1\(\large\sf{\frac{2}{3}}\)となります。

仮分数→帯分数にするときは、
分子を分母で割った答えが帯分数の整数に。あまりが、仮分数の分子です。

仮帯分数から帯分数

今度は、帯分数1\(\large\sf{\frac{2}{3}}\)は、\(\large\sf{\frac{3}{3}}\)が1つと\(\large\sf{\frac{2}{3}}\)ですから、\(\large\sf{\frac{3}{3}}\)×1+\(\large\sf{\frac{2}{3}}\)=\(\large\sf{\frac{5}{3}}\)。
帯分数→仮分数にするときは、
整数の部分×分母+分子が、仮分数の分子になります。

帯分数から仮分数

【練習】仮分数は帯分数に、帯分数は仮分数に直してみましょう。

(1) \(\large\sf{\frac{7}{3}}\) (2) \(\large\sf{\frac{15}{4}}\) (3) 1\(\large\sf{\frac{1}{2}}\) (4) 1\(\large\sf{\frac{3}{5}}\) (5) 2\(\large\sf{\frac{2}{3}}\)

【答え】
(1) 7÷3=2あまり1→\(\large\sf{\frac{7}{3}}\)=2\(\large\sf{\frac{1}{3}}\)
(2) 15÷4=3あまり3→\(\large\sf{\frac{15}{4}}\)=3\(\large\sf{\frac{3}{4}}\)
(3)2×1+1=3→ 1\(\large\sf{\frac{1}{2}}\)=\(\large\sf{\frac{3}{2}}\)
(4) 5×1+3=8→1\(\large\sf{\frac{3}{5}}\)=\(\large\sf{\frac{8}{5}}\)
(5) 3×2+2=8→2\(\large\sf{\frac{2}{3}}\)=\(\large\sf{\frac{8}{3}}\)

分数のおもしろルール②通分の基本

分数のおもしろルール②:分母と分子のそれぞれに、同じ数字をかけても割っても、同じ。

約分の基礎

左の円の黄色の部分は1を3等分したものが1個、\(\large\sf{\frac{1}{3}}\)ですね。
この3等分をさらに3等分にしてみましょう(右の円)。
全体は3×3で9等分されました。ひとつは\(\large\sf{\frac{1}{9}}\)です。
黄色の部分をみると、1つのものを9つに等分したものが3個ですから、\(\large\sf{\frac{3}{9}}\)です。

\(\large\sf{\frac{1}{3}}\)=\(\large\sf{\frac{3}{9}}\)であることが左右の円の黄色の部分が同じであることからわかります。

分母と分子のそれぞれに同じ3をかけても、同じ大きさになっていますね。

【練習】次の分数で同じものどうしを組み合わせましょう。

(1) \(\large\sf{\frac{2}{3}}\) (2) \(\large\sf{\frac{3}{5}}\) (3) \(\large\sf{\frac{4}{7}}\) (4) \(\large\sf{\frac{33}{55}}\) (5) \(\large\sf{\frac{18}{27}}\) (6) \(\large\sf{\frac{36}{63}}\)

【答え】
(1)と(5), (2)と(4), (3)と(6)

おもしろルール②のうち、
分母と分子を同じ数で「割って」小さな数字にすることを「約分」といいます。

例:\(\large\sf{\frac{4}{10}}\) を2で約分する→\(\large\sf{\frac{4÷2}{10÷2}}\) =\(\large\sf{\frac{2}{5}}\)

分母の違う分数のたし算とひき算、通分に挑戦

分母が同じ分数のたし算と引き算は、分子どうしをたし算したりひき算したりすればよいのでしたね。
では、分母が違う\(\large\sf{\frac{1}{3}}\)の円+\(\large\sf{\frac{1}{4}}\)の円はどうでしょう。

分母の違う分数のたし算

(1) \(\large\sf{\frac{2}{7}}\):分母どうしと分子どうしをたし算する。
(2) \(\large\sf{\frac{2}{3}}\):分母を3にして、分子どうしをたし算する。
(3) \(\large\sf{\frac{2}{4}}\):分母を4にして、分子どうしをたし算する。

残念、どれも不正解です。
分母が違う分数どうしはそのまま計算をすることはできないのです。

それなら分母を同じにしてしまいましょう。

おもしろルール②「分母と分子に同じ数をかけても分数の大きさは変わらない」を使います。
\(\large\sf{\frac{1}{3}}\)と\(\large\sf{\frac{1}{4}}\)の分母を同じ数「12」にしてみましょう。

約分の基礎

\(\large\sf{\frac{1}{3}}\)の分母を12にするには、
3×4=12 分母を4倍にしますね。
おもしろルール②ですから、分子も4倍にします。
1×4=4
\(\large\sf{\frac{1}{3}}\)=\(\large\sf{\frac{4}{12}}\)となります。

\(\large\sf{\frac{1}{4}}\)の分母を12にするには、
4×3=12 分母を3倍にしますね。
おもしろルール②ですから、分子も3倍にします。
1×3=3
\(\large\sf{\frac{1}{4}}\)=\(\large\sf{\frac{3}{12}}\)となります。

\(\large\sf{\frac{1}{3}}\)+\(\large\sf{\frac{1}{4}}\)=\(\large\sf{\frac{4}{12}}\)+\(\large\sf{\frac{3}{12}}\)

分母が同じなので分子どうしを足し算すればいいですね。
3+4=7なので、答えは\(\large\sf{\frac{7}{12}}\)となりました。

このように分数の分母を同じ数にそろえることを通分(つうぶん)といます。

分母に使った「12」はどうやって見つけるのでしょうか。
同じ分母にするには、異なる分母の最小公倍数を使います。これは小学5年生で習いますので、今は異なる分母と分母をかけ算した数字(公倍数)と覚えておけばOKです。

3×4=12

\(\large\sf{\frac{1}{3}}\)と\(\large\sf{\frac{1}{4}}\)を分母12で通分するというわけです。

【練習】
通分すれば分母が違う分数も大きさを比べることができますね。どちらが大きいか通分して不等号で書きましょう。

(1) \(\large\sf{\frac{2}{3}}\)と\(\large\sf{\frac{3}{5}}\)  (2) \(\large\sf{\frac{5}{7}}\)と\(\large\sf{\frac{7}{8}}\)  (3) \(\large\sf{\frac{4}{5}}\)と\(\large\sf{\frac{5}{8}}\)  (4) \(\large\sf{\frac{4}{9}}\)と\(\large\sf{\frac{7}{11}}\)

【答え】
(1) \(\large\sf{\frac{2}{3}}\)と\(\large\sf{\frac{3}{5}}\)→\(\large\sf{\frac{2×5}{3×5}}\)と\(\large\sf{\frac{3×3}{5×3}}\)→\(\large\sf{\frac{10}{15}}\)>\(\large\sf{\frac{9}{15}}\)
(2) \(\large\sf{\frac{5}{7}}\)と\(\large\sf{\frac{7}{8}}\)→\(\large\sf{\frac{5×8}{7×8}}\)と\(\large\sf{\frac{7×7}{8×7}}\)→\(\large\sf{\frac{40}{56}}\)<\(\large\sf{\frac{49}{56}}\)
(3) \(\large\sf{\frac{4}{5}}\)と\(\large\sf{\frac{5}{8}}\)→\(\large\sf{\frac{4×8}{5×8}}\)と\(\large\sf{\frac{5×5}{8×5}}\)→\(\large\sf{\frac{32}{40}}\)>\(\large\sf{\frac{25}{40}}\)
(4) \(\large\sf{\frac{4}{9}}\)と\(\large\sf{\frac{7}{11}}\)→\(\large\sf{\frac{4×11}{9×11}}\)と\(\large\sf{\frac{7×9}{11×9}}\)→\(\large\sf{\frac{44}{99}}\)<\(\large\sf{\frac{63}{99}}\)

まとめ

分数の小学4年生の範囲は、真分数、仮分数、帯分数、約数、通分です。これですべての分数のたし算と引き算ができるようになりました。魔法のルール①、おもしろルールの①②で理解できます。むずかしく考えずに、基本をマスターしていれば必ずわかるという自信をつけるといいですね。

このブログでは、「教え方」を目的にしていますので、練習問題は十分ではありません。しっかり手を動かして理解できるように練習させてあげてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。お子様の学びと成長のお役に立てれば幸いです。

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    大野奈津:モンテッソーリ教育、脳科学、心理学、快適な学習環境づくりの経験を総動員して、苦手意識克服、受験に向けてがんばる子供たちやご家族の目標をサポートしています。







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