【算数おもしろ問題】条件整理に大人もたじろぐ!すみれちゃんの誕生日はいつ?
算数の条件整理のおもしろ問題で、夏休みも算数を楽しく勉強しませんか。世界で一番の算数力ランキングを誇るシンガポールの小学校で出された問題をもとにした条件整理に挑戦してみましょう。大人の方が頭をかかえるかもしれません。やわらかい頭と思考力をフル回転。ご家族でどうぞ。
目次
算数おもしろ問題:すみれちゃんの誕生日は何月何日でしょう?
大好きなすみれちゃんの誕生日が知りたいハヤト君とタクミ君。すみれちゃんに、
「ねーすみれちゃん、きみのお誕生日を教えてくれない?」
と尋ねました。すると、すみれちゃんは「この中のどれかよ」といって、二人にメモを渡しました。
5月 15日 16日 19日
6月 17日 18日
7月 14日 16日
8月 14日 15日 17日
そして、ハヤト君には誕生日の「月」だけを教え、タクミ君には「日」だけを教えてどこかに行ってしまいました。メモを眺めながら、二人の会話です。
すみれちゃんの誕生日がわからないのは、ボクだけかと思ったら、
タクミ君もわかってないんだね。
へ?たしかにさっきまでわからなかったけど、
今のハヤト君の言葉でもうわかったよ。
まじ?!ならボクもタクミ君の今の言葉でわかった!
さて、すみれちゃんの誕生日は何月何日でしょう?
条件整理①:問題文の中の条件からわかること。
まず問題文の中の条件から最初に気がつくことは、同じ日にちが2回出てくる場合と、1回しかない場合があること。14日は7月と8月に、15日は5月と8月に、16日は5月と7月に、17日は6月と8月に。そして18日は6月、19日は5月にしかありません!
ここでもしあなたがタクミだったとしましょう。タクミが教えてもらった日にちが18日か19日だったら、もうタクミには答えがわかっていることになりますね。まとめておきます。
もしタクミ君が18日か19日と教えられていたなら、タクミは答えがわかっていることになる。
5月 15日 16日 19日
6月 17日 18日
7月 14日 16日
8月 14日 15日 17日
条件整理②:最初のハヤト君のセリフ(条件)からわかること。
すみれちゃんの誕生日がわからないのは、ボクだけかと思ったら、
タクミ君もわかってないんだね。
このメモを見た時、ハヤトも18日と19日はひとつしかないことに気がついています。ハヤトの立場になってみましょう。もしハヤトが教えてもらった「月」が、5月だったとすると19日である可能性があります。同じようにもし6月と教えてもらったとすると18日という可能性があります。つまり、ハヤトが知っている月が5月か6月ならタクミ君が「答えがわかっている」可能性が残るのです。でもハヤトは「タクミ君もわかっていないんだね」と断言しました。ということは、ハヤトが教えられた「月」は5月か6月以外の7月か8月であることが確定します。
5月 15日 16日 19日
6月 17日 18日
7月 14日 16日
8月 14日 15日 17日
条件整理②:タクミ君のセリフ(条件)からわかること。
へ?たしかにさっきまでわからなかったけど、
今のハヤト君の言葉でもうわかったよ。
こんどはタクミ君の立場になってみましょう。条件整理①の解説通り、最初のハヤト君のセリフを聞いて、タクミ君にも誕生日が7月か8月であることがわかりました。つまりタクミ君が知っている日にちは7月と8月の中にある14日、15日、16日、17日のいずれかです。という状況でタクミ君が「今のハヤト君の言葉でわかった」ということは、7月と8月の両方にはいっている14日の可能性はないことが確定します。
5月 15日 16日 19日
6月 17日 18日
7月 14日 16日
8月 14日 15日 17日
条件整理③:最後のハヤト君のセリフ(条件)からわかること。
まじ?!ならボクもタクミ君の今の言葉でわかった!
残る可能性は、8月15日、7月16日、8月17日。もしハヤト君が知っているのが8月だとするとまだ15日と17日のふたつの選択肢が残るはずです。ですがハヤト君は「タクミ君の今の言葉でわかった」というのですから、選択の余地がない7月つまり、7月16日が最後の答えです。
7月16日が私の誕生日です。正解しましたか?
5月 15日 16日 19日
6月 17日 18日
7月 14日 16日
8月 14日15日 17日
【すみれちゃんのたん生日 動画解説】
算数の条件整理の問題を解くコツ
条件整理の問題を解くには、まずは問題文の中からすべての条件(確定された情報)を取り出します。すべての始まりですからここが一番大切です。問題文の条件を読みとるときに意識することは、文章にはいっている情報はすべて解答に必要な条件だということ。
すみれちゃんの誕生日の問題文や会話は、一見なんということはない会話文のようですが、ハヤト君、タクミ君の会話のすべてが条件になっていましたね。次にその条件から確定できる新しい条件を探します。
(問題の条件)~ということは〇〇だ。(〇〇は確定)
「〇〇かもしれない」とか「〇〇の可能性はある」は確定できる条件ではありません。確定できない場合、さらに条件を細分化して~の場合〇〇だ、という部分的な条件で確定していきます。今はスルーしても構いませんので、まずは基本の考え方を身に着けてしまいましょう。
「~ということは〇〇だ」をすべて引き出したら、次は、派生的に確定できる条件を探します。
〇〇ということは、□□だ。(□□は確定)
あるいは、
〇〇で、〇〇ということは、□□だ。
いくつかの条件を合わせてわかる新しい条件を引きだします。
そうした上で、何を使って解いていくかがわかるのです。
条件整理の例題を解いてみよう
例題:
A, B, C, D, 4 つのチームが他のチームと 1 試合ずつサッカーの試合をしました。 A は B に勝ちましたが、C に負 ま けました。D は 3 連勝で優勝しました。勝ち数が 同じチームはなく、引き分けもありませんでした。このとき B と C ではどちらのチーム が勝ちましたか。
(1)まずは、問題文にある情報を確認しましょう。①~⑤の下線の部分です。
例題:
A, B, C, D, 4 つのチームが他のチームと 1 試合ずつサッカーの試合をしました。 ①A は B に勝ちましたが、②C に負 ま けました。③D は 3 連勝で優勝しました。④勝ち数が 同じチームはなく、⑤引き分けもありませんでした。このとき B と C ではどちらのチーム が勝ちましたか。
総当たり戦(どのチームも他のすべてのチームと対戦する)なので、下線の情報を表にするのが鉄則です。ここで⑤引き分けはない、という条件から、すべての枠に〇か×がはいるということがわかります。①~③を書き入れます。ここではただ問題の条件そのままです。
(2)「ということは〇〇だ」と確定できることを探しましょう。
AがBに勝ったということは、BがAに負けたということだ。
AがCに負けたということは、CがAに勝ったということだ。
Dが3連勝したということは、AとBとCがみんなDに負けたということだ。
これを書き入れましょう。
(3)[「〇〇ということは、□□だ」と派生的に確定できることを探しましょう。
勝ち数が同じチームはない、という条件が残っています。ポイントは条件はすべて使う事。表を見てみましょう。
Dは3連勝なので、勝ち数が3だ。
Aは表をみると、勝ち数が1だ。
ここまでがわかりますね。
さらに、「□□ということは、△△だ」と派生的に確定できることを探しましょう。
Aが勝ち数1ということは、Bは勝ち数1じゃない。
Bの表はひとつしか残りがありませんから、ここは×になります。
さらに、「△△ということは、●●だ」と派生的に確定できることを探しましょう。
Bは勝ち数0、Aは勝ち数1、Dは勝ち数3だから、Cは勝ち数2になる。
これですべての表がうまりました。問題で聞かれているのは、BとCではどちらが勝ちましたか?ですから、Cの勝ち、が答えです。
まとめ
条件整理の問題が大切なのは、これがまさにロジカルシンキング、論理的思考の基礎だからです。つまり条件整理の力は、すべての算数問題を解く力に通じます。①与えられた条件をひとつひとつ瑛寧に取り出す。②「ということは〇〇だ(確定)」を探す。③確定できるかどうかをしっかり吟味する。確定できないときは、条件付きで確定する(本ページでは解説していません)。この思考を常に意識すれば必ず算数問題を解く自信につながります。
子供たちの成長のお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。